このブログ初登場、インドに住み始めて8年余りが経とうとしている私、okazuです。
インド各地を歩き回っていますが、地域によって「家」のかたち、あり方も様々。
ところ変われば、気候が変わり、人の営みもそれに応じたものになります。
石造り、レンガ造り、日干しレンガ造り、レンガ+セメント造り、はたまた、ヤクの毛を紡いだ糸で編んだテント。
インド西部に暮らすワルリ族の人たちの家について、お答えします。

Q.
玉川
大学「博物館教育論」を受講している加藤麻莉子と申します。

先日はご多忙中にもかかわらず、ウォールアートプロジェクト、わふフェスについてのご講演、誠にありがとうございました。

今回はワルリ族の衣・食・住について、授業で使う資料としていくつかお聞きしたいことがあり、メールさせて頂きました。

・住について

ワルリ族の家は主に何人で、およそ何日でつくられるか。
また、大変お手数ですが、家を作る作業工程の写真などがあれば幾つか送信して頂きたいです。

A.  
ワルリ族の人々は、拡大家族のケースがほとんどで、3世代が一緒に暮らしていることが多いです。(4世代もあります)
おじいさん、おばあさん、父、母、子(だいたい兄弟がいる。一人っ子は稀。)、孫まで。人数は8〜10人くらいでしょうか。
牛たちも同じ屋根の下で暮らしています。牛たちのスペースがしっかりと設けられています。
造りは、3×3の9本の柱を梁でつなぎ、その間に補助の柱、カルウィーという植物の幹を並べ、壁の母体をつくります。

建設途中の様子は、こちらのストップモーション「noco project インドで家を建てました」をご覧ください。


動画にある通り、まずは、草むしりをして家を建てる場所を清めます。
その後、バガットと呼ばれるシャーマンが神様に祈りを捧げ、作業が始まります。
行程は、穴掘り、柱建て(建てる前に木材を加工)、土盛り、砂利盛り、叩き、牛ふんでコーティング(その前に村で牛ふん集め)、壁造り、屋根がけなど。あ、ドア枠をつくり、扉をつけるのが最後の作業です。
2015年にnoco projectで1棟目を建てたときは、日本人、ワルリ族の村人が約30人集まり、交代しながら作業を進め、17日間かかりました。かかる日数は、すべての行程が手仕事なので人数によりけりですね。建てた3月は、夏へ向かおうという時期で、日中の気温は40度を超えるので、朝と、午後3時半頃から日が暮れるまでの時間に作業をしていました。

家づくりは、家族、親戚、ご近所さんが力を合わせて行います。家の補修も必要で、手間がかかります。
しかし、それは次世代へ「住」の知識や技術、文化が受け渡される場所でもあります。
一つ一つの作業に根気が必要ですが、「自分の住む場所を自分で作ることができる」というのは、何にも代えがたい自信につながるのだ、ということを感じました。

 家を建てながら、村人への聞き取りリサーチもしました。
そもそも、家を建てよう、となったのは、映像にあるような伝統的な家が、レンガとセメント造りの家に建て替えるわりつつある、という村の状況があったからです。
わかったのは、「伝統的な家を建てたくても、木がない」ということ。外部の人々による過剰な伐採で木が減り、政府が木の伐採を厳しく制限しています。家の敷地内にある木を切るにも許可が必要です。
「レンガとセメントの家に一部建て替えたけれども、家族が集まるのは、家の古い部分。新しい部分には熱気がこもって居心地が良くない。古い部分のほうが風通しがよくて、気持ちいいんだ」という人も。
一方で、14歳の少女たちは、「私たちは新しい家の方がいい」とも言います。

一緒に家を建てたワルリ族の青年メンバーは、「伝統的な家を残すのが、ワルリ族の将来のためになると思う」という思いをもって協働しました。はたして、ワルリ族の人々にとって、良い未来とはどういうものなのか、一緒に活動しながら模索しています。

ワルリ族の村人の生の声や、木をめぐる状況、暮らしについては、「nocoのつくりかた2015」をご覧いただければと思います。
nocobook_hyoushi

「nocoのつくりかた2015」
B6版 オールカラー 500円+税
購入はこちらから。
http://storetool.jp/4009074092/ITMP/0117.html

okazu